2011年03月23日

シーベルトとベクレル

 今回はうんちく講座。
 シーベルトとかベクレルとかいまだかって一般の人が耳にしたことの無いような言葉がニュースをにぎわせている。そんな言葉が出るたびに枝野さんはレントゲン検査何回分とかほうれん草を千束食べても大丈夫とか大汗かいて説明している。汗をかけばかくほど風評被害が広がっているようで関係のない県の葉物野菜も出荷できなくなっているようだ。むかし貝割れ大根をテレビで食べて見せたのは菅さんじゃなかったっけ。今度はほうれん草を食べてみせるのか。

 さて本論に戻って、シーベルトだけどこれはどれだけ放射能(放射線)を浴びたかという量をあらわす単位。1時間あたりとか年間とかで表現されるけど問題なのは累計でどれだけ浴びるかということ。小さな量でも長時間浴び続ければ問題になる。消防庁のレスキュー隊員が早々と東京へ帰って記者会見などしていたのは一度の任務で消防庁規定の量(原子力関係者などから見ればきわめて少ないが)に達しお役後免になるから。太陽に当たったようなもので体に何かが体についたとかいうものでない。
 それに対してベクレルというのはどれだけ放射能をもっているかの量をあらわす単位。これは文字どおり放射性物質が付いてしまった状態。放射能汚染とか言う言葉が使われるが昔風に言えば死の灰をかぶった度合いを表す。キログラムあたりで表すからほうれん草千束などという例えが使われる。これは太陽に当たったなどというのとは違い放射性物質が付着しているわけだから、体であれば洗い流さなければならないし、食品であれば口にしないに超したことはない。やっかいなのは草や飼料に付いた場合それを食べた牛から、そのままミルクに混入して出てくること。消化されたり中和されたりということがない。土にしみこめばその土で生育した作物が水と一緒に吸収し放射能を持つ可能性があること。海が汚染されれば泳ぎ回る魚はともかく貝や海草は放射能を蓄積してしまう。そういった意味ではシーベルトよりやっかいな代物だ。土壌にしみてしまった場合自然消滅を待たなければならないが何年も何十年もかかるものがある(半減期で表現)。除染のためには畑の土の入れ替えなどが必要になる。

 ただシーベルトもベクレルも安全基準はきわめて低い値で設定しているのは確か。だからちょっと検出されても大騒ぎして説明しなければならなくなる。今回消防庁の隊員が1任務で浴びる限界を30ミリシーグラムとしているけど、僕が去年癌の放射線治療で浴びたX線の量は30日で60シーベルト。消防隊員の許容限界の2000倍。それくらいでないと癌細胞は殺せないと言うことか。ガン細胞に集中して照射するから大丈夫だけど全身で浴びたら5回は死んでいる。因みに有紀子さんのお父さんが受けている前立腺癌の陽子線治療だと、もし同じ回数治療したとすればX線のさらに5倍、300シーベルトを浴びていることになる。

 だからいま騒いでいるような量ではシーベルトもベクレルも慌てるような話じゃないのだけど、政府も公表しなければたたかれるし、公表する場合は影響がないことを強調しなければならないし、それがまた疑心暗鬼を呼ぶようでなんにしても大変だ。こんなことが起こらなければ一番良かったのだろうけど、いつかは一度は経験する話だったのかも知れない。イスラエルの学者が発表している、今回のような途方もない大災害で原子炉災害がこのレベルでとどまっているのは幸運だとおもわなければならないと、そうかも知れない。

Posted by たあちゃん at 05:37│Comments(0)TrackBack(0)

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