2011年04月07日

死と生と

 やはり漂流犬(Drifting Dog)バンちゃんは海外で話題を呼んでいる。いやそれだけでなく日本の海上保安庁(Japan Coast Guard)も犬一匹のためにヘリコプターを上空待機させ巡視船を向かわせ最後には隊員が冷たい海に飛び込んで救助したなど、鯨を殺す野蛮なはずの日本人が本当はとても動物を愛する人たちだったなどと見直されることになってしまった。
 これはこれで素敵なことだが海に飛び込んだ隊員にもその他の隊員にもこの救助作戦は別の意味を持っていたのじゃないかという気がする。そもそも今回の任務は海保と海上自衛隊と米海軍との合同の、大規模な「遺体」捜索作戦だったわけだ。まだ行方不明なままの一万六千もの遺体の海上での探索、暗い重苦しい雰囲気で出航したに違いない。うっかり冗談も言えずだだ海上に目を凝らすだけ、そして眼下に広がるのは生命の臭いのまるで感じられない死の世界。
 そんななかで思いがけず、あり得ないような「生命体」に出会ったわけだ。感動しないわけがない、救われた気がしないわけがない、そんな気持ちであれば海に飛び込むのに躊躇するわけがない。確かに救助されたのは犬の方だが、その漂流犬が救われることでどれだけ多くの保安隊員の心を救っただろう。いやそれだけではない、その作戦に参加した日米の兵たちは勿論、そのときテレビを見ていた多くの人々の心を深く打ったと思う。そしてなによりその中の一人にいたバンの飼い主には信じられないプレゼントだったろう。
 遺体捜索活動はお世辞にも大きな成果があったとは言えない、でも数十体の遺体より一匹の信じられないような生命力をもった犬を救助できたことに作戦参加者は誇りと満足を覚えたと思う。(表だって報道はできないだろうが)


 あと3時間ほどでまた病院、採血と診察、それに2種の点滴。体が馴染んでいるといいけど。

 結月はあと数日か、準備万端らしい。急に大きくなって3300グラムとか。無事に生まれてくることだけが願い、苦しいとか辛いとかはこちらで引き受けるから。
  

Posted by たあちゃん at 04:57Comments(0)TrackBack(0)